Interview
”当たり前”を変革する企業理念という希望を旗に、二人三脚でバトンを繋ぐ。
本音で話し合える関係性から紡がれる企業理念推進の形
株式会社エナリス 人事部 組織・人材開発課
藤井 薫さん
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日々の暮らしに欠かせない、電力の需要と供給のバランスを保つための管理業務を主軸に、発電から電力小売まで幅広くサービスを展開する株式会社エナリス様(以下、エナリス)。 エナリスでは、2019年に企業理念を新しく掲げました。弊社は、企業理念を策定するプロジェクト(DENIM)から、理念浸透を推進するプロジェクト(Flag Project)の伴走まで担当させていただいております。一定期間ごとでメンバーが入れ替わりながら続いている本プロジェクトにおいて、プロジェクトマネージャーの藤井さんに率直なご感想をいただきました。
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この企業理念は経営陣がトップダウンで決めたものではなく、社員がチームを作り、多くの社員の意見を受けながら決めたものです。
本音で話し合う関係性だからこそ、試行錯誤のプロジェクトが続く
伊澤:企業理念推進のアドバイザリーを我々のような外部と続けることについて、藤井さんとしてどのように捉えていらっしゃいますか?
藤井:まず、企業理念策定から現在までを知っていらっしゃる伊澤さんがファシリテーターを務めてくださることに、絶大なる安心感があります。ずっとこのプロジェクトのことを知っていらっしゃるだけでなく、常に弊社のこと、弊社の視点を第一に考えてくださることがとてもありがたいと思っています。 コンサルタントの観点あるいはファシリテーターの観点で、時には、伊澤さんが「こういう風にした方が良いのでは」と思うこともあるのではないかと思います。そんな中でも、プロジェクトメンバーのリーダーシップを尊重して、意思決定をうながしてくださるところがありがたいですね。 また、プロジェクトメンバーの視点であったり、経営者の視点であったり、さまざまな観点から問いかけをしてくださり、バランス良く運営してくださっているところに価値を感じます。これまで議論が滞ったり、意見の相違があったりしたこともありましたが、このプロジェクトが続いてきたのはこのようなサポートがあったからだと感じています。
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伊澤:プロジェクトを続ける中で、様々な事例を知っているからこそ口出しをしたくなることもあるのですが、子育てと同じで先回りして言ってしまうと育たないですから。それは飲み込んで、「みなさんがいいと思うことをやりましょう」という風にファシリテートしていたことがちゃんと伝わっていたのですね。 もう一つお聞きしたいことがあります。サービスの良し悪しだけでなく担当替えや人事異動があっても、そこでお取引が終了するのではなく、ずっと弊社に依頼をしてくださっています。節目節目にどのように意思決定してくださったのでしょうか?
藤井:確かに、長いお付き合いの中で節目はありました。先ほどのお話にも少し重なりますが、その時も、伊澤さんが常に弊社のことを第一に考えてくださったのです。「もし一緒にお仕事ができなくなっても、この選択肢がエナリスさんにとって良いと思う」と本音で代替案の否定をせずに、お話くださったことが印象的でした。そのような姿勢に心から信頼させていただいています。 そういう方とお仕事をご一緒できることこそが弊社にとって良いことであると。それが一番の決め手ですね。
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伊澤:ありがとうございます。今回新たにメンター研修も依頼いただき、このように長くお付き合いさせていただけていることが弊社にとって財産ですね。 私のサラリーマン時代には、短期的な売り上げに対するお取引の色がどうしても強くなっていましたが、今はそういった制限がないので、どうしたら長くお付き合いができるのかを第一に考えています。短期的にいくら、というスタンスではない仕事がしたいと思っていたことが継続の決め手になっていたのだなと思うと、感慨深いですね。 もう3年ほど毎月2回みなさんとミーティングを重ねていますが、印象に残っていることはありますか?
藤井:大きく3つあります。1つ目は、表彰式やワークショップももちろんですが、それに至るまでのプロセスですね。毎月のミーティングでは紆余曲折がありましたから。例えば、プロジェクトのメンバーが腹落ちするまで企業理念について思うことを付箋に貼りまくるということを続けてきました。それがあったからこそ次の施策立案フェーズにいけたなという実感があります。本気でみんなが企業理念と向き合った時間だったなと。
伊澤:始まったころはコロナ前だったので、一つの会議室でホワイトボードに付箋を貼りまくりましたね。みんなの熱量が高かったこと、よく覚えています。2つ目はどういったところでしょうか?
藤井:2つ目は、まさに2年前のコロナが流行し始めた時のことです。今ではオンラインやハイブリッド方式での会議は当たり前になっていますが、当時は本当に暗中模索状態で。そんな中でもプロジェクトの存続が決まったことがとても印象に残っています。2020年3月半ばごろだったと思うのですが、当時まだ入社して間もない頃で、何もわからない状態でコロナ禍になってしまって。プロジェクトも一時的に1ヶ月間中止となりました。そんな中、伊澤さんと「なんとかやってみたいんです」「じゃあオンラインでやってみましょう」と何度も打ち合わせやリハーサルを繰り返しながら手探り状態でミーティングを作り上げて、なんとか4月後半から実施できるようになりました。 あの時期があったからこそ、今ではハイブリッド方式でのミーティングも不安なく実施できるようになりましたね。 当時は本当に伊澤さんがいてくださり心強かったです。いつも方向性を示すというよりもヒントを与えてくださる感じでメンバーの考える余地を残してくださりつつ、プロセスが崩壊しない形で進行していただけるのです。やはりファシリテートしてくださる伊澤さんだからこそだなと感じています。 (↓Flag Projectの様子。この日はハイブリッド形式で、リモートワークの方や、関西支店の方も参加していました。)
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伊澤:Flag Project 1期メンバーのみなさんは、当初あまり話す印象がなかったのですが、卒業する頃にはみなさん積極的に意見を言ってくださるようになっていて、藤井さんもそこは同様に感じていらっしゃるのではないかなと思っています。 2期メンバーのみなさんは最初からとても喋る方達ばかりで、しかも意見が割れる(笑)それぞれいい意味でぶつかっていくところがあって特徴がありますね。
藤井:そう思っていただいていたのですね。プロジェクトとは直接関係ないかもしれませんが、伊澤さんとお仕事をご一緒させていただく中で、一人ひとりが気づかないうちに学んでいるところもあると思います。私もその中の一人です。例えば社内で何かファシリテーションをすることになった場合、やっぱり迷うこともあるんですよね。そんな時にいつも心の中で一つ軸になるのは「伊澤さんだったらどう声をかけるか?」ということなんです。 つい最近も、社内の小さなプロジェクトの中で、メンバーが前向きに発言してくれているなと実感する場面がありました。
伊澤:このプロジェクトは、メンバーはもちろん、人事の方をはじめ、関係してくださる方が多いので、毎回とても緊張しているんです。みなさんどう感じていらっしゃるのかな?と思っていましたがそのように言っていただけて嬉しいです。 プロジェクトの印象をお聞きする中で「トップダウン型じゃなくてみんなで考えた」という印象が強くなりました。 現代って、物を買うにしてもなんにしてもわかりやすい答えを求めるじゃないですか。でも企業理念推進ってすごくわかりにくくて、すぐに答えを見ようとしてもできない。でも結果的に、今みなさんとおこなっているこのプロジェクトによって少しずつ企業理念を考える人たちが増えていっているなという実感があります。私としてはそこがとても印象的ですね。
藤井:実はまだもう一つ印象に残っていることがあります。 プロジェクトのミーティング前に、いつも事前会議を伊澤さんと私でおこなっているのですが、回を重ねるごとに二人三脚度が増しているなと感じていて。 初めの頃は、事前打ち合わせを実施していなかったのですが、徐々にミーティングの難易度が上がってきたこともあり、伊澤さんからご提案いただいておこなうようになりました。 事前のメールやチャットのやり取りも細かくさせていただいて、この事前準備があるからこそ、プロジェクトの着実な前進に繋がっていると感じています。 (↓Flag Project第1期メンバーの大友様にもご同席いただきました)
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伊澤:確かに私から事前打ち合わせやメールの回数を増やしませんかと提案させていただきました。自分の中でもトライアルアンドエラーを繰り返しながら、みなさんの考えと私の考えを擦り合わせていきました。 最後に、この企業理念をどう会社の未来に繋げていきたいとお考えですか?
藤井:これは私の主観になりますが、企業理念を推進するというより、この理念が社員のみなさん一人ひとりの希望になればいいなと思っています。 やっぱり今って弊社を取り巻く環境も厳しく、エネルギー業界全体を明確に見通せないと思っています。日々のニュースの中でもいいニュースばかりではなくて、むしろ気が重くなるようなものが多いというのが現実ではないでしょうか。 でも企業理念のVisionである「人とエネルギーの新しい関係を創造し、豊かな未来社会を実現する」を改めて考えた時に、「今はこの未来を作るために私たちは日々仕事に取り組んでいて、その未来を実現するための過程である」という風にみんなで思えたらいいなと。 このVisionを叶えるのは簡単ではないですし、そのためにもしかすると沈んでしまう時期があるかもしれない。その沈む時期ももしかすると2年や3年と長期に渡るかもしれない。そんな時に自分の中に希望がないととても長く感じると思うんです。 でも企業理念が常に自分の中にあって「このための今なんだよな」と思えたら、頑張っていく力になるんじゃないかなと。簡単な言い回しになってしまいますが、一歩一歩進んでいく力になるのではないかなと個人的には思っています。だからこそ、そのために私ができることをやっていきたいですね。
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経営陣ではなく「社員が作った」エナリスの企業理念。3年間伴走を続けてきたからこそ、その企業理念が灯した点と点が会社の未来につながっていく様子が見えてきました。
社員数が多い会社であるほど、企業理念はなかなか浸透しづらいもの。変化が大きく、先の見えにくい現代において、その企業理念が「社員一人ひとりの希望になれば」という藤井さんのお考えは、企業理念推進の基盤につながり、会社の今後を照らしてくれるのではと感じました。
今後、企業理念がより浸透していくにつれ会社にとってどのような変化がもたらされるのか楽しみです。